ナチュラルワインとは?①

【で、結局ナチュラルワインとは何なのか①】

本イベントは、正式名称を『自然葡萄酒博覧会』といいます。自然葡萄酒…、つまり巷では自然派ワイン、ヴァン・ナチュール、ナチュラルワイン等の名称で呼ばれている一群を指します。では一体、何を以てそれらをナチュラルワインと呼ぶのか。スーパーやコンビニで売られている500円のワインと一体何が違うのか…。それを知って頂くことこそ私たちの目論み。私たちが愛して止まないナチュラルワインのこと、もっともっと多くの方に知って頂きたい。素晴らしさを分かち合いたい。それによって、日本の、現代社会のおかしな部分、矛盾している部分が、ちょっとはよくなるんじゃないかなと、そんな風に考えているからです。私たち…、本気です。

ナチュラルワインと聞いて、まずイメージするものは何でしょうか。有機栽培?ノンフィルター?或いは酸化防止剤無添加でしょうか。

確かにこれらはナチュラルワインにとって重要なファクターでありますが、だからといって、ナチュラルワインの全てが無添加だという訳ではありません。フィルターをかける生産者も沢山います。じゃあ一体どうやって作ったらナチュラルワインなの?

そもそも、ナチュラルワインに定義は存在しません。幾つかの認証団体は存在しますが、それぞれが独自の基準のもとで認定を行なっているのみで、統一されたものではありません。私の見解ですが、定義は必要ないと思います。いや、そもそも定義なんてできるもんじゃない。何故なら、私たちがカテゴライズするべき対象は、ワインそのものではなく、人だからです。問うべきは、その生産者が何を表現したいのか、だと思うのです。大量生産による商業主義、つまりお金儲けをしたいのか、それとも自分たちの住む土地、自然を愛し、その自然を芸術として表現したいのか。その違いなんだと思うのです。栽培方法や醸造方法は、その表現の手段に過ぎず、その表現したいことが変わらなければその手段は問われないでしょう。題材は同じでもその描き方には、水彩画や油彩画、或いは彫刻や写真など、多様な表現方法があるのと一緒です。

私たちが大好きな、この博覧会に出品されている生産者達は皆、自分の住む土地、自然を愛して止まない人たちばかりです。だからこそ、それを壊したくないし、余計なものを加えたくもない。そしてそのありのままの自然を、ワインという形に変えて、家族や、隣人や、そして遠く離れた日本の友人達と分かち合いたい、その素晴らしさを伝えたいと願っているのです。こうして手作りのワインを通して、人と人とが繋がっていく。生産者からインポーター、酒屋や飲食店、そして多くの飲み手、みんながその想いを共有して、1本のワインを楽しむ。流通の発達によりグローバルにはなりましたが、それこそが何千年もの間、人間が脈々と続けて来た繋がり方だったはずです。本来の豊かさであったり、幸福であったりがそこにあったはずだと思うのです。私たちがナチュラルワインを通して伝えたいことは、そういうことだと思うのです。